イベント

Date:
2016.03.14-15
演者:
Dr. Juha Huiskonen オックスフォード大学・STRUBI (英国)・准教授
講演タイトル:
2016年 日本生物物理学会北海道支部・日本生化学会北海道支部合同シンポジウム「Cryo-EM of Lassa Virus-Low-pH conformations and Receptor Binding of the Glycoprotein Spike」
第3回 生命分子科学研究会「Using Cryo-EM to Understand Complex Macromolecular Assemblies」

2016年3月14日(月)、北海道大学大学院薬学研究院 第一講義室にて、2016年日本生物物理学会北海道支部・日本生化学会北海道支部合同シンポジウムを開催し、「Cryo-EM of Lassa Virus-Low-pH conformations and Receptor Binding of the Glycoprotein Spike」のタイトルで講演をいただきました。ラッサウイルスは、ラッサ熱の原因ウイルスとして知られ、アフリカを中心に年間約5000人 (感染者の約1-2%)を死に至らしめます。極めて危険性の高いウイルスのため、エボラウイルスなどと同様にバイオセーフティレベル でレベル4での取り扱いが義務化されています。本講演では、このウイルスの宿主への侵入に重要なウイルス表面糖タンパク質について、実際の感染時にこのタンパク質がどのような構造変化を引き起こし、lysosome内で宿主受容体と結合するかを講演頂きました。さらに、これをもとに提唱されるラッサウイルスの感染過程のモデルを説明していただきました。今後、この知見が詳細な侵入過程の解明やワクチン開発へとつながると期待されます。
さらに翌3月15日(火)には、第3回生命分子科学研究会の中で、バイオ特別経費プロジェクト」との共催シンポジウムとして、「Using Cryo-EM to Understand Complex Macromolecular Assemblies」のタイトルでご講演いただきました。本講演では、様々なタンパク質の例を用いて、クライオ電子顕微鏡の理論的背景から解析方法まで詳しく説明していただきました。さらに、最近Dr. Juha Huiskonenらが開発した複合体構造において高分解能な構造解析結果を得られる可能性のある方法の‘localized reconstruction’について説明していただきました。この方法により、バクテリアファージのRNAポリメラーゼ複合体を例に、これまでX線構造解析では分からなかった相互作用部位が明らかとなるなど、この方法の有用性を説明していただきました。講演中に会場から多くの質問が出てそれに講演者が答えるなどフランクな雰囲気で講演が進み、クライオ電子顕微鏡についての理解が進みました。

両講演を通じて、本プロジェクトのキーポイントであるタンパク質立体構造におけるクライオ電子顕微鏡についての重要性が強く示されたと考えられます。

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